2007年11月18日 (日)

損保会社社員のHP

損害保険会社社員の方が作成されている(らしい)HPを見つけました。
立場は違えど、なかなか参考になります(特に、「仕事部屋」のページ)。

リンクフリーのようですので、下にリンクを張っておきます。

「K's FILE」
http://www2f.biglobe.ne.jp/~k-m/index.html

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2007年8月29日 (水)

交通事故手帳⑤~人身事故・消極損害・「死亡逸失利益」

人身事故でどんな賠償が請求できるかについて、今日は「消極損害」のうち「死亡逸失利益」についてまとめてみます。

(2)消極損害

ウ 死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、被害者が死亡したことにより被害者が失った「得べかりし利益」(=何もなければ得られるはずだった利益)のことです。
実際には、遺族(相続権者)が、加害者に対して請求していくことになります。

これも、算定方法は実務上、以下の算定式で定型化されています。

  死亡逸失利益=基礎収入額(年収)×(1-生活費控除率)×中間利息控除係数

そこで以下では、(ア)基礎収入の認定方法(イ)生活費喪失率とは/その認定(ウ)中間利息控除係数とは/その認定、の順でまとめていきます。

(ア)基礎収入の認定方法

原則として事故前の現実の収入額や申告所得額を基準とするなど、基本的な考え方はこれまで休業損害や後遺症逸失利益の項で述べてきたものと同じです。

a 昇給についての考慮

 給与所得者の昇給見込み分については、大阪高裁昭和41年3月17日判決(判例時報191号85ページ)が「将来昇給等による所得の増加を得たであろうことが、証拠に基づいて相当の確かさを持って推定できる場合には、右昇給の回数、金額等を予測しうる範囲で控えめに見積もって、これを基礎として将来のうべかりし所得額を算定することも許される」と言い、上告審(最判昭和43年8月27日民集22巻8号1704ページ)もこれを維持しています。

b 退職金についての考慮
 
 被害者が給与所得者で、職場に退職金規程がある場合には、現実に受け取った退職金額と、定年勤務の場合に得られたはずの退職金の差額を、逸失利益として請求できます(最判昭和43年8月27日民集22巻8号1704ページ・先の最高裁判決と同じものです)。ただし、中間利息控除をすると、現実の受領額と差がなくなってしまう場合もあるようです。

c 未就労者の場合

 未就労者について死亡逸失利益が認められるかについては、最判昭和39年6月24日(判例時報376号11ページ、判例タイムズ166号106ページ)により、肯定されています(「年少者死亡の場合における右消極的損害の賠償請求については(中略)裁判所は、被害者側が提出するあらゆる証拠資料に基づき、経験則とその良識を十分に活用して、できうるかぎり蓋然性のある金額を算出するように努め、(中略)要するに、問題は、事案毎に、その具体的事情に即応して解決されるべきであり、所論の如く算定不可能として一概にその請求を排斥し去るべきではない。」)。

 そして具体的算定方法としては、東京地方裁判所第27部、大阪地方裁判所第15民事部及び名古屋地方裁判所民事第3部による「交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」(2000年1月1日、判例タイムズ1014号62ページ)は、

 「A 交通事故による逸失利益の算定において、原則として、幼児、生徒、学生の場合、専業主婦の場合、及び、比較的若年の被害者で生涯を通じて全年齢平均賃金又は学歴平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合については、基礎収入を全年齢平均賃金又は学歴別平均賃金によることとし、それ以外の者の場合については、事故前の実収入額によることとする。」
「B 交通事故による逸失利益の算定における中間利息の控除方法については、特段の事情のない限り、年5分の割合によるライプニッツ方式を採用する。 」

としており、これによれば基本的には、18歳から67歳までを稼働期間として、賃金センサス上の全年齢平均賃金により計算することになります。

d 失業していた被害者の場合

 事故時職がなかった死亡被害者についても、死亡逸失利益は認められます。この場合、「再就職によって得られるであろう収入を基礎とすべきで、その場合特段の事情のない限り失業前の収入を参考と」し、「失業以前の収入が平均賃金以下の場合には、平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスによる」などとされます(赤本基準)。

(イ)生活費喪失率とは/その認定

「生活費控除」とは、実務上認められている計算方法で、被害者が生存していたら発生していたであろう生活費(食費など)支出分が死亡により支出されなくなるので、その分支出を免れいわば得をするとも言えるのだから(損害の性質についての「差額説」的な説明。なお「労働能力喪失説」では、「労働能力再生産経費がかからなくなる」などと言います。)、その分は支払われるべき損害賠償金額から引く(控除)べきだ、というものです。

具体的な喪失率は、

 ①一家の支柱
   被扶養者一人 40%
   被扶養者二人以上 30%
 ②女子(主婦、独身、幼児を含む) 30%
 ③男子(独身、幼児を含む) 50%
 ただし、兄弟姉妹が相続人の場合は別途考慮する。

などとされています(赤本基準:なお「兄弟姉妹の場合に別途考慮」というのは、賠償請求権者に遺族の扶養がない場合などに、より高い生活費控除をする(得られる賠償額が結果的には少なくなる)ことを念頭に置いたものと思われます(理論的根拠はよくわかりませんが(公平の見地?)、扶養の必要がある場合にはより多くの賠償を得られるようにするという意味だとすれば、事案によっては適切な考慮をしうるのかもしれません。)。

(ウ)中間利息控除係数とは/その認定

中間利息控除についても、後遺症逸失利益の場合の説明と、ほぼ同じ内容が妥当します。すなわち実務上は、就労可能年数の終期までに対応するライプニッツ係数を利用して計算することが多いと思われます。
なお高齢者については、簡易生命表上の余命年数の二分の一と、67歳までの就労可能年数の、いずれか長いほうの年数を、就労可能年数とみています。

 ※簡易生命表:厚生労働省が作成しているもので、その年度の死亡率などのデータに基づき、年齢別・男女別に、年齢別平均余命などを計算し公表しているものです。
    参考・平成18年度簡易生命表(厚労省HP、2007年7月26日発表)→ http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life06/index.html

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2007年8月27日 (月)

交通事故手帳④~人身事故・消極損害・「後遺症逸失利益」

人身事故でどんな賠償が請求できるかについて、今日は「消極損害」のうち「後遺症逸失利益」についてまとめてみます。

(2)消極損害

イ 後遺症逸失利益
 後遺症逸失利益とは、「後遺症」を負ったことにより失った「得べかりし利益」(=何もなければ得られるはずだった利益)のことです。具体的には、働く能力が落ちてしまったことで将来にわたって減収が予想される場合のその減収分をさし、人身事故で後遺障害を負った場合、これも請求可能です。

 算定方法は実務上、以下の算定式で定型化されています。

  逸失利益=基礎収入額(年収)×労働能力喪失率×中間利息控除係数

 そこで以下では、(ア)基礎収入の認定方法(イ)労働能力喪失率とは/その認定(ウ)中間利息控除係数とは/その認定、の順でまとめていきます。

(ア)基礎収入の認定方法

基礎収入額は、通常、事故前の現実の収入、または症状固定後の最新の「賃金センサス」(下記厚生労働省HP参照)の平均賃金(これを得られる蓋然性があることが条件)の高いほうを採用します。なお、現実収入よりも高い収入を将来得られたことの証明ができれば、その金額を基準にできます。

「現実の収入」は、事故前3か月(保険会社はこれを求めてきます)~1年程度(3か月の資料では実態に合わない場合など)の範囲で資料をそろえ、適正な年収を算定していくことになります。なお給与所得者について、税金分は控除しません(損害賠償金は非課税所得であるため(所得税法9条1項21号)。

 ※賃金センサス(「賃金構造基本統計調査」)→ http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/indexk-roudou.html
  (参考:HP「実務の友」(・・・便利!)による年度別一覧→ http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/indexk-roudou.html )

また若年労働者の場合には、当該年齢の賃金センサスではなく、全年齢平均の賃金センサスを利用して計算します(そうしないと、若年ゆえの低賃金を基準として67歳までの逸失利益を計算するという不合理が生じます)。

(イ)労働能力喪失率とは/その認定

労働能力喪失率とは、簡単にいえば、「事故によって、働く能力が事故前(=100%)よりもどれくらい失われたか」という%数値です。

実際には、認定された後遺障害等級に対応する労働能力喪失率(=労働省基準局通牒(昭32・7・2基発第551号)別表労働能力喪失表に準じるもの)を基準として、それに事案に応じた調整を行って認定します。

なお「労働能力喪失期間」(いつまでを「労働能力を失った期間」として計算するか、ということ。もちろん人は無限に働けるわけではないので…)は、原則として満67歳まで、とされます(=後述の「中間利息控除」計算の際の「利益を失う期間の長さ」に対応します)。
ただしこれはすべての事例で機械的に67歳までと判断されるのではなく、「むち打ち症」では後遺障害等級12級で5~10年、同14級で5年かに制限される例が多いとされる(赤本参照)など、具体的事例においては、後遺障害の具体的内容によって長短の判断がなされます。

(ウ)中間利息控除係数とは/その認定

「中間利息控除」とは、支払われるべき逸失利益について、将来の利息による増額分を控除することです。
すなわち、「逸失利益」は計算された全額を支払うはずですが、支払われた金額を将来までに運用した場合は利息がつくはずのため、実際に支払う金額としては、その利息分をプラスした金額が「逸失利益」と同額になるように現在価格に換算した金額を、つまり利息分を引いた金額を支払う、ということです。

具体的には、利益を失う期間の長さに対応した「控除係数」をかけます。

この控除係数については、被害者側に有利な「ホフマン係数」(=単利で計算)と被害者側に不利な「ライプニッツ係数」(=複利で計算)とがあるのですが、そのいずれを採用して計算するかについては、東京地方裁判所第27部、大阪地方裁判所第15民事部及び名古屋地方裁判所民事第3部による「交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言」(2000年1月1日)では、「交通事故による逸失利益の算定における中間利息の控除方法については、特段の事情のない限り、年5分の割合によるライプニッツ方式を採用する。」としています(判例タイムズ1014号62ページ)。

また利率については「被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するために控除すべき中間利息の割合は,民事法定利率によらなければならない」(※民事法定利率=年5%)とされています(最判平成17年6月14日:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25041&hanreiKbn=01

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2007年8月25日 (土)

交通事故手帳③~人身事故・消極損害・「休業損害」

人身交通事故でどんな賠償が請求できるかについて、今日は「消極損害」といわれるもののうち「休業損害」についてまとめてみます。

(2) 「消極損害」
 事故により失った(事故がなければもらえるはずだった)利益のことを、一般に「消極損害」と分類しています。

ア 休業損害
 休業損害とは、交通事故による傷害が「治癒」しまたは「症状が固定」した時期までの間に被害者に生じた収入の減少のことを言います。

 いくら減少したかは、
(ア)給与所得者
 事故前の収入を基礎として、受傷により休業したことによる現実の収入減少額
 ※ただし、現実の収入減少がなくても、有給を使用した場合は、休業損害として認められています(東京地判平成14年8月30日交通事故民事判例集35巻4号1193ページなど)。

(イ)自営業者
 現実の収入減少額
 →これを計算するには、基礎収入金額と事故後の現実の収入金額を比較しなければなりませんが、自営業の基礎収入は、確定申告の申告所得の金額をベースに考えます。また、配偶者を事業専従者としているけれども実際には給与を支出していないまたは労働していない場合は、本人の申告所得額に専従者給与額を加えた金額を基礎収入として考えることができます(大阪地判平成5年1月12日交通事故民事判例集26巻1号17ページ)。

 ただ、事業所得者の場合には、確定申告上の収入と実際の収入が違うということがままあります。この場合、税務上の問題はさておき(賠償請求の前提として、修正申告が必要かもしれません)、交通事故損害賠償としては、実際の収入金額が証明できれば、それを請求する余地はあります(名古屋地判平成4年7月29日交通事故民事判例集25巻4号892ページなど。なお赤本2001年版渡邉和義裁判官講演録参照)。
 また、確定申告すらしていないけれども相当額の収入はあったとみられる場合には、賃金センサスの平均賃金を基礎として損害額を算定することもあります。

(ウ)会社役員
 役員報酬のうち労務対価部分と評価される部分(=従業員給与相当部分+純然たる取締役報酬のうち、労務対価の実質を持つと評価される部分)については、収入減少額を休業損害として請求できます。ただし、その「労務対価部分」の割合の評価は困難です。

(エ)家事従事者
 賃金センサスの女子労働者全年齢平均賃金(「年齢別」平均ではない)を基礎に損害算定がされます(赤本基準。なお、男性が家事に従事していても、実務上同じ扱いです。)。
 パートをしている場合は、賃金センサスと現実の収入の高いほうを基礎に算定します(なお、赤本2003年版「家事労働の逸失利益性」参照)。

 ※なお家事労働の金銭評価可能性については、これを認めた最高裁昭和49年7月19日判決(民集28巻5号872ページ)、同昭和50年7月8日判決(交通事故民事判例集8巻4号905ページ)があります。

(オ)無職者
 原則として、休業損害は認められません。ただし、就職が内定している場合などでは認められる余地があります。

(カ)学生、生徒、幼児など
 これも原則として、休業損害は認められません。ただしアルバイトをしていた場合には、その収入を基礎に休業損害を認める余地があります(大阪地判平成4年2月13日自動車保険ジャーナル985号、16歳高校生のアルバイト収入を認めた事例など)。 

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2007年8月23日 (木)

交通事故手帳②~人身事故・積極損害

先日の「物損事故」に続いて、「人身事故」でどんな賠償が請求できるかについて、まとめてみます。
今日は賠償請求できる損害のうち、「積極損害」についてです。

各項目のさらに詳しい内容は後日補充したいと思います。

2 人身事故

(1) 「積極損害」
 事故により直接支出した費用を、一般に「積極損害」と分類しています。

ア 治療費
 手術代、検診代、薬代など実費は、「必要かつ相当な範囲で」全額認められます(「過剰診療」「高額診療」はだめ、ということです。)。ただし、請求の際、請求書や領収書など、出費を証明する資料が必要になりますので、必ず保管しておいてください。

※1 差額ベッド代
  差額ベッド代は、医師が治療上必要と認めた場合または他に病室がない場合には請求できます。
  なお差額ベッドとは、差額ベッドとは、自己負担で入る部屋(=ベッド)を言います。入る部屋は、たとえば1人部屋など、4人以下の病室です。この病室を利用する場合(本来、差額ベッドの利用は任意です)、健康保険の適用がある入院費とは別に、健康保険の適用がない100%自己負担として、いわゆる差額ベッド代がかかります。差額ベッド代は、一日2000~5000円くらいのところが多いと思います。
   参考:埼玉県HP(厚生労働省通知つき)
   http://www.pref.saitama.lg.jp/A04/BN00/hokeniryou/sagakubed.html

※2 鍼灸・マッサージ・温泉治療代など
 残念ながら基本的には請求は認められず、治療上必要との医師の診断がある場合、または現実に症状軽快に効果があったことを証明しえた場合(たとえば、東京地判平成16年2月27日自動車保険ジャーナル1560号14ページ(整骨院の事例)、東京地判昭和53年3月16日判例時報900号79ページ(温泉治療の事例)など)のみ請求可能です。もちろん、請求のためには請求書・領収書が必要です。

※3 症状固定後の治療費
 「症状固定」(この意味については別の機会に説明したいと思います)後の治療費は、通常は認められません。ただし「必要かつ相当」であれば認められることはあり、リハビリ費用が認められた例として、浦和地判平成7年12月26日交通事故民事判例集28巻6号1780ページ、症状固定後の治療を「改善治療」ではないが悪化を防ぐ「保存的治療」として必要と認めた神戸地判平成10年10月8日交通事故民事判例集31巻5号1488ページなどがあります。
 なおこれについては、後遺症慰謝料の中で事実上斟酌するという判断もあり得ます(むしろこのほうが一般的です)。

イ 付添看護費・通院付添費
 (厳密には「付添者の」損害であって、「被害者自身の」損害ではありませんが、被害者自身の損害として実務上扱われています。)
 被害者が小学生以下くらいの年齢の場合は全額、それ以上の場合も医師が必要と認めた場合には請求できると思われます。金額は定額化されており(ただし症状や被害者の年齢により、増額考慮はあり得ます)、近親者が入院に付き添った場合は一日6500円(赤本基準)、通院に付き添った場合は一日3300円(同)です。付添者が付添いのために仕事を休んだ場合は、その分の休業損害として請求できます(たとえばパート休業分を認めた東京地判平成6年7月15日交通事故民事判例集27巻4号932ページ、タクシー運転手休業分を認めた東京地八王子支判平成12年10月17日交通事故民事判例集33巻5号1663ページなど)。業者に依頼した場合は、実費全額が認められます(1万円~1万5000円くらい?)。

ウ 将来付添費(介護料)
 植物状態被害者など重篤な後遺症に苦しまれる被害者の場合、将来にわたる介護費用が請求できる場合があります。基準としては必要かつ相当、すなわち医師の指示または症状の程度からして必要と認められる場合で、業者に頼む場合は実費全額、近親者が介護する場合は一日8000円と定額化されています(もちろん、実態に応じた修正はあります)。
 さまざまな問題を含むので、後日補充したいと思います。

エ 入院雑費
 入院中の消耗品費用などのことで、一日当たり1500円(赤本基準)に定額化したうえで認められます。領収書は不要です。

オ 通院交通費
 電車・バス、自家用車の高速代、ガソリン代などは認められますが、タクシーは傷害の程度から必要な場合などに限られます。

カ 医師への謝礼
 「社会通念上相当な範囲」で損害として請求が認められます。問題はどの程度が「社会通念上相当」かということですが・・・公刊されている事例では、植物状態になってしまった被害者の受け入れ先病院との交渉をしてくれた医師への謝礼100万円を認めた事例(横浜地判平成8年2月15日交通事故民事判例集29巻1号230ページ)、急性硬膜外血腫などで入院治療を受け後遺障害1級となった事例で医師9名に150万円以上支払ったケースで、医師一人当たり5万円(合計45万円)を認めた事例(東京地判平成7年7月27日交通事故民事判例集28巻4号1108ページ)などがあります。

※ なお、是非は別にして医師への「謝礼」は常態化していますが、その「相場」は不明確です。教授レベルで30万円から100万円とか、麻酔医には10万円とか言われますが・・・「医者と謝礼のいま」(富家孝著・光文社新書)や、読売ウィークリー2003年3月30日号の特集などが参考になります。

カ 装具・器具代、家屋や自動車の改造代
 必要かつ相当なものであれば、将来の相当期間の費用も含めて請求できます。 

キ 葬儀費用
 定額化されており、原則として150万円(ただしこれ未満の場合は実費)が認められます(赤本基準)。香典返しは損害としては認められません。

ク 弁護士費用
 通常、請求認容額の1割が認められます。

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2007年8月 8日 (水)

交通事故手帳①~物損事故

交通事故にあった方から、損害賠償請求についてご相談を受けることが、よくあります。
そこで、「交通事故の場合にどのような損害賠償を請求できるのか?」について、一般的なことをちょっとづつまとめて行ってみようと思います。何かの際にご参照ください。

1 今日は、物損事故についてまとめてみます。

ア 修理費用・車買い替え費用
 自動車を事故前の状態に戻す(修理)費用は、損害として請求できます。

 ただ、
  ①修理ができない
  ②修理代が事故当時の車の「時価」を著しく上回る
  (=このような事態に至った事故を「全損」と言います)

これらの場合には、修理代ではなく、「事故車と同等の車」を買い替える費用を請求する、ということになります(東京高判S57.6.17(判例時報1051号9ページ)を読むと「特段の事情」ある場合については②の場合も修理費用請求の余地がありそうですが、それも単に愛着があるというだけではだめで、中古車市場でも再購入ができないような車くらいに限られそうです(大阪高判H9.6.6交通事故民事判例集(交民)29巻3号771ページ))。

 ちなみに「時価」の算定には、裁判では、「中古車価格月報」(通称レッドブック、オートガイド社)を利用することが一般です。レッドブックに載っていない車については、中古車専門誌などに載っている価格を参考にしたり(東京地判H10.11.25交民31巻6号1764ページ等)、購入価格と購入後の使用期間の長さ・償却期間などを参考にしたり(大阪地判H7.1.27交民28巻1号98ページ等))しています。

イ 代車料
 代車料については、営業車については認められ、マイカーの場合は認められない、という傾向があるようです。

ウ 評価損
 修理したけれども戻せない損傷が残る場合、または事故歴が残ることで車の評価額が下がった場合、それを「評価損」が出たといいます。これらの評価損部分を請求できるかについては、裁判上でも肯否双方の結論があります。

エ 慰謝料
 物損事故では、愛着のある自動車が全損となったなどのケースでも、残念ながら通常は、慰謝料は認められません。

オ 弁護士費用
 交通事故損害賠償請求では、裁判をした場合、請求が認められた金額の10%程度が弁護士費用として認められることがあります。ただ、裁判にまでなるケースは人身事故であることがほとんどですので、物損事故特有の損害賠償項目というわけではありません。

カ その他雑費
 もちろん、このほかにかかる雑費も、事故と「相当因果関係」ある損害、すなわち「事故にあえばそれは普通にかかるでしょ」というような損害については、請求可能です。たとえば、レッカー代、廃車代、時価査定料、交通事故証明書取得費用等。

2 ちなみに物損事故では、自賠責保険は使えませんので、注意してください。

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2007年5月23日 (水)

5人

今日の夜、仕事先からの帰り、私が五日市街道を車を運転しているときに、赤信号無視または横断歩道のないところを横断してきた(飛び出しも含む)人の数です。

私は仕事柄、さまざまな交通事故に接します。
幸せなんて、本当に一瞬で吹っ飛ばされてしまうのです。だから、そんなことはやめてほしいと、痛切に思います。

警察庁交通局交通企画課:
「平成1 8 年中の交通事故死者数について」
(平成1 9 年1 月2 日)
http://www.npa.go.jp/toukei/koutuu37/20070104.pdf

警視庁:「東京都内の交通事故発生状況」
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/toukei/jiko/jiko1.htm

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2006年10月22日 (日)

脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)

「脳脊髄液減少症」をご存知でしょうか?

たとえば交通事故にあってずいぶん時間が経つのに、めまいや吐き気、しびれなどが治らない、という訴えをされる交通事故被害者の方がおられます。

これまでの交通事故実務では、この原因が医学的に特定されず、通常の「鞭打ち」として処理されてきました。その結果、詐病ではないのに、たとえば損害賠償の場面などで、非常に不当な扱いを受けてきています。

そんなこの症例について、交通事故により髄液漏れが生じたことが原因ではないか、ということが、近時有力に主張されています。

そしてこの髄液漏れの症例すなわち「脳髄液減少症(以前は「低髄液圧症候群」と呼ばれていました。)について、以下のような報道がされています。

(以下毎日インタラクティブ2006年10月21日から一部引用)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2006/10/21/20061021ddm001040006000c.html
脳脊髄液減少症:診断指針策定へ 脳神経外科学会、発症解明研究に着手
 社団法人「日本脳神経外科学会」(東京都文京区、理事長、吉本高志・東北大学長)の学術委員会は20日、京都市内で「脳脊髄(せきずい)液減少症」(髄液漏れ)をテーマにしたシンポジウムを初めて開き、髄液漏れの発症メカニズムを解明するため本格研究に乗り出すことを決めた。日本整形外科学会など他の学会と連携し、1年後をめどに診断と治療のガイドライン策定を目指す。
(以下略)

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2006/10/21/20061021ddm041040158000c.html
脳脊髄液減少症:発症2年、医師と出会えた 元気になったよ--小5・前原君
 髄液が漏れる症状を訴えて苦しんでいることがやっと学会に分かってもらえた。日本脳神経外科学会が20日、「脳脊髄(せきずい)液減少症」(髄液漏れ)の研究に着手することを明らかにし、患者らは「一歩前進した」と期待を込めた。周囲の無理解や救済制度のはざまで悩む人たちを、わずかな人数の医師が支えてきた。そんな状況が変わろうとしている。(以下略)

(以上引用終わり)

私の知る方の中でも、この症状で、とても辛い思いをされている方がいます。
状況が少しでも前進することを祈ります。

以下、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)についてのネット上参考情報です。

最新医療情報(共同通信社)
広がる低髄液圧症候群治療 自己血で漏れにふたを
交通事故などでも発症
http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0712zuieki.html

低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)ファイル
http://members.at.infoseek.co.jp/teizui_file/

闘病らんど » 低髄液圧症候群 (脳脊髄液減少症)
http://toubyou.oh.land.to/dokuwiki/teizui/teizui

鞭打ち症患者支援協会
http://www.npo-aswp.org/

この他、毎日新聞では継続的にこの症例についての報道がされているので、注目いただければと思います。

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