「家事事件手続法」施行(2013・1・1~)
「家事事件手続法」が、1月1日から施行されました。これにより従来の「家事審判法」は廃止されます(ただし、すでに裁判所に係属している事件については、引き続き家事審判法が適用されます)。
・・条文:http://law.e-gov.go.jp/announce/H23HO052.html
この新しい法律は、家事事件(相続、離婚など)審理に非常に大きな影響があるので、以下、骨子を説明します。
<申立書写しの相手方送付>
今後は、家事調停の申立書は、原則として相手方に送付されます(256条1項、但し書きの例外あり)。
※申立書式、非開示申出書書式等
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/syosiki02/index.html
※新法に関する裁判所注意書き
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/kajijikennotetuzukioriyousurukatae.pdf
<記録の閲覧、謄写>
従来は、相当と認めるときに限り家裁が許可しなければ出来ませんでしたが、今後は、
★当事者であれば原則許可(プライバシー等に配慮した例外有:47条3、4項)
となりました。
<非開示希望申出>
★そこで、今後は、裁判所に提出する資料等の中に、相手方に見せてほしくないものがあるときは、「非開示の希望に関する申出書」を提出する必要があります(書式:上記HP)。
<調停期日の冒頭の運用変化について>
東京家裁では、調停の冒頭、双方当事者本人の立ち会いのもとでの手続き説明を予定しているそうです。ただしこれはDVや精神的な問題などで支障がある場合には実施せず、また当面は、本人がかたくなに拒否する場合は実施を見合わせるとも言われています。
<電話での調停参加>
当事者が遠隔地に居住しているなどのときに、家裁が相当と認めれば、電話会議システムまたはテレビ会議システムを利用して調停に参加できるようになりました(258条1項、54条)
<調停にかわる審判>
「別表第2」にあげられる調停(婚姻費用、離婚、相続など)についても、調停にかわる審判ができるようになりました(284条)
(「別表」→条文参照)
<審判前の保全処分>
・夫婦間の協力扶助、婚姻費用、子の監護、財産分与(157条1~4項)
・親権者の指定、変更(175条1項)
・扶養の順位、程度の決定等(187条1、2号)
・遺産分割(200条2項)
について、家事調停申立てがあったときに、審判前の保全処分申立をすることができるようになりました(105条1項)。
★子どもの手続き上の地位に関する改正★
<子どもの意思把握に関する総則規定>
子どもが影響を受ける手続きにおいては、
・子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法によって子の意思を把握するように努め、
・調停・審判をするにあたって、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない、
との規定が置かれました(65条、258条1項)。
<子どもの手続き参加の制度>
・子の監護に関する処分の調停、審判(252条1項2号、151条2号)
・親権者変更の調停・審判(252条1項4号、168条7号)
・親権喪失・停止・管理権喪失の審判(168条3号)
・未成年後見人選任の審判(177条2号)
・児童福祉施設等入所措置承認・更新の審判(235条)
等、一定の事件については、子ども自身が(意思能力があれば、)手続きに参加できるようになりました(申立、当事者参加(41条)、利害関係参加(42条))。
<子どもの手続き代理人制度>
子どもが118条(この法律の他の規定において準用する場合を含む→親権、未成年後見等)又は252条1項(子の監護等)によって手続行為をしようとする場合に、必要があると認めるときは、子どもは弁護士を手続代理人に選任することができ(23条1項)、子どもが自分で弁護士をつけない場合にも、裁判長は職権で弁護士を国選の手続代理人につけることができるようになりました(2項)。
※なお、
日弁連「子どもの手続代理人の報酬の公費負担を求める意見書」
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120913_5.html
・・長くなったので、今日はここまでにします(今後、適宜補充するかもしれません)。
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