2009年3月14日 (土)

栃木リンチ殺人事件・最高裁上告棄却のニュース

「栃木リンチ殺人事件」に関する、遺族から県への賠償請求につき、上告が棄却されたそうです。

このような裁判を起こさざるを得なかった遺族の気持ちを思うと、個人的には、いろいろと思うところがあります。きっと、お金の問題ではないはずです。今日のこのニュースの意味を、全国の警察の現場では、きちんと受け止めてくれたのでしょうか?

(以下毎日jp2009年3月14日より引用)
栃木・上三川町のリンチ殺人:県警への賠償命令が確定--捜査ミス
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2009/03/14/20090314ddm041040147000c.html
 栃木県上三川(かみのかわ)町の会社員、須藤正和さん(当時19歳)が99年に少年グループのリンチで殺害された事件を巡り、県警が捜査を怠ったとして遺族が県などに賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は13日、遺族の上告を棄却する決定を出した。県に1100万円の賠償を命じた2審・東京高裁判決(07年3月)が確定した。
 須藤さんは99年9月から加害者に連れ回されてリンチを受け、12月2日に殺害された。1審・宇都宮地裁は06年4月、捜査ミスと死亡の因果関係を認め、県に約9600万円の支払いを命じた。
 これに対し2審は、「殺害を阻止できたとまでは認められず、救えた可能性は3割程度」として、賠償額を大きく減額していた。
(以上引用終わり)

|

2009年1月24日 (土)

「被害者参加制度」初公判

改正刑事訴訟法に基づく「被害者参加」による初公判が2件、行われました(各罪名は自動車運転過失致死、傷害だそうです)。

(以下東京新聞2009年1月24日より一部引用)
被害者参加 初の公判 東京地裁 被告に質問、量刑へ意見
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009012402000129.html
 刑事裁判に被害者や遺族が参加する新しい制度に基づいて、交通死亡事故など二つの公判が二十三日、東京地裁で開かれた。被害者側の救済策の一つで昨年十二月一日に施行された。実際に被害者側が参加したのは初めてとみられる。 
(以上引用終わり)

なお一方の事件では、被害者参加人には代理人弁護士はついていないようです。
また、いずれも判決は次回公判のようです。

制度を導入した以上、今日限りの関心ではなく、判決後の被害者・遺族の心情や公判終了から期間を置いたときの心情なども、きちんとフォローしていく必要があると思っています。

|

2008年10月21日 (火)

少年審判被害者傍聴制度、12月15日施行

以下の報道によると、少年法改正による被害者傍聴制度は12月15日施行(同日以降の審判に適用)のようです。

(以下アサヒドットコム2008年10月21日より一部引用)
少年審判の被害者傍聴、12月15日スタート
http://www.asahi.com/national/update/1020/TKY200810200415.html
 殺人など重大事件の少年審判に被害者や遺族の傍聴を認める改正少年法について、法務省は12月15日から施行する方針を決めた。28日の閣議で正式決定する見通し。
 傍聴は、施行日以降に開かれる審判が対象となる。
(中略)一方、少年審判とは別に通常の刑事裁判では、被害者が法廷で被告に直接質問したり、求刑の意見を述べたりできる「被害者参加制度」が12月1日に施行される。
(以上引用終わり)

|

2008年8月24日 (日)

被害者参加制度等は12月1日施行

以下の報道によると、「被害者参加制度」等は、12月1日以降に起訴された事件から開始のようです。

(以下読売オンライン2008年8月21日より引用)
刑事裁判への被害者参加制度、12月施行の方針
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080820-OYT1T00901.htm
 法務省は20日、刑事裁判で犯罪被害者・遺族が被告人質問などを行える「被害者参加制度」を12月1日に施行する方針を固めた。
 同日以降に起訴された殺人などの重大事件に適用する。近く閣議で正式決定される見込み。
 同制度では、被害者が審理に出席して検察官の横に座り、被告人質問をしたり、求刑の意見を述べたりできる。また、刑事裁判を担当した裁判官が被害者の賠償請求に関する決定を出せる制度も、12月1日に施行される。
(以上引用終わり)

|

2008年5月30日 (金)

少年審判の被害者傍聴について

少年審判の被害者傍聴に関する少年法改正が、与党案に修正を加え、成立の見込みだそうです。
修正は、①傍聴は12歳以上少年の事件につき認める、②具体的事件の傍聴の可否については、弁護士付添人の意見を聞いて決定する、というもののようです。

(以下毎日jp2008年5月29日より引用)
少年法改正:改正案、成立の見通し 修正で民主と一致
http://mainichi.jp/select/seiji/archive/news/2008/05/29/20080529ddm012010096000c.html
 犯罪被害者や遺族に原則非公開の少年審判の傍聴を認める少年法改正案について、与党と民主党は28日、「12歳未満の少年の審判は傍聴を認めない」などを柱とする修正案をまとめ、改正案が可決・成立する見通しとなった。
 政府原案は、他人を死傷させた重大事件の審判で、家裁が少年の年齢などを考慮した上で被害者らの傍聴を認める内容。修正案はさらに(1)家裁は傍聴を認めようとする場合、(加害少年の)弁護士(付添人)の意見を聞く(2)14歳未満の「触法少年」のうち12歳未満のケースは傍聴は認めず、12、13歳の場合は特別な配慮をする--などを盛り込んだ。
(以上引用終わり)

|

2008年5月29日 (木)

被害者参加:模擬裁判(千葉地裁)

被害者参加制度を取り入れた初めての裁判員模擬裁判が,千葉地方裁判所で行われたそうです。以下の記事には,法廷の様子も写真で出ており,参考になります。

東京地裁でも,7月から模擬裁判が始まると聞いています。制度の施行時期はまだはっきりしませんが,少なくとも準備の時間的な猶予はほとんどありません。制度の周知と並行して,このような模擬裁判を各地で積極的に行っていく必要があります。

(以下読売オンライン2008年5月28日より一部引用)
被害者参加の模擬裁判 裁判員役「流されないよう聞いた」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20080527-OYT8T00720.htm
 刑事裁判で、犯罪被害者やその遺族に被告人質問や求刑に対する意見陳述を認める「被害者参加制度」を取り入れた模擬裁判が、26、27の両日、千葉市中央区の千葉地裁で行われた。
 (中略)民間企業などが提出した名簿から選出された6人が裁判員役、司法修習生や地裁職員が遺族役や証人役となり、現役裁判官や検事、弁護士と共に審理に臨んだ。
 事件は、飲酒運転常習者の49歳の男が、発泡酒と日本酒計約2リットルを飲んだ直後に車を運転、居眠りの末に対向車線にはみ出して正面衝突した57歳の男性を死亡させたという想定。
 2日間かけて行われた審理では、「被害男性の妻」役が検事の隣に着席。裁判員たちは、妻が弁護士を通じて被告人に質問をしたり、夫を亡くした心情を涙ながらに話したりする様子を真剣な表情で見つめていた。
 妻は弁護士を通じて最終意見を述べ、検察側の求刑(懲役6年)を大幅に上回る懲役20年が相当と訴えたが、言い渡された判決は懲役6年だった。
 裁判員役を務めた四街道市の会社役員男性(49)は、「感情に流されないよう注意して聞いた。3人の子がいるので、もし、子どものことを訴えられたら、つい被害者寄りに考えてしまうかもしれない」と話していた。
(以上引用終わり)

|

2008年5月10日 (土)

「被害者参加制度」の模擬裁判

刑事裁判における「被害者参加制度」導入につき、模擬裁判の実施が決まったようです。

私は前にブログでも書いたように、「今回の制度設計での」参加制度には賛成ではありませんでした。ただ、導入が決まった以上、失敗は許されません。このような模擬裁判を行いまた弁護士会でも弁護士向けの研修(それも、単に技術的な研修でなく、二次被害を防ぎ、真に被害者支援につながるような研修)を実施するなど、急ぎ、最善の準備をしなければいけないと思います(正直な印象として、今の段階では、準備は法曹三者ともに相当に立ち遅れているとの印象です)。

(毎日新聞2008年4月29日より一部引用)
<裁判員制度>被害者参加の模擬実施へ 最高裁が課題検証
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080429-00000012-mai-soci
 重大事件の刑事裁判に国民が参加する裁判員制度に向け、最高裁は、今年末までに始まる「被害者参加制度」を取り入れた模擬裁判を始めることを決めた。
 (略)被害者参加制度は、「刑事裁判で蚊帳の外に置かれてきた」との被害者の声を受け導入が決まった。来年5月開始の裁判員制度と同様、殺人など重大事件が対象で、検察官の隣に座った被害者・遺族が被告や情状証人に直接質問でき、量刑に関する意見も述べられる。
 (略)模擬裁判では、飲酒して正常な運転が困難な状態でハンドルを握った男性被告が、居眠りして対向車に衝突し運転手を死なせたとして、危険運転致死罪に問われた事件を取り上げる。実在の事件をもとに作成したシナリオで、被告は罪を認めており量刑判断がテーマ。被害者の支援活動をしている弁護士らに遺族役として模擬裁判に参加してもらい▽遺族の強い姿勢の質問に影響されないか▽量刑に関する意見を、どの程度まで反映させるか▽量刑判断にばらつきはでるのかなどを検証する方針。
 模擬裁判は千葉地裁が5月下旬に実施し、前橋地裁が6月、東京地裁が7月に行う予定で、ほかの地裁もそれ以降、順次実施していく。 
(以上引用終わり)

|

2008年5月 7日 (水)

「ここにいること 地下鉄サリン事件の遺族として」(高橋シズエ著・岩波書店)

地下鉄サリン事件遺族である高橋シズエさん著の「ここにいること 地下鉄サリン事件の遺族として」(岩波書店)が、出版されています。

何と紹介していいものかうまく言葉にならないのですが、「犯罪被害」「被害者」「支援」「被害者像」「刑事裁判」「刑事弁護」「死刑」「謝罪」「更生」、そして「家族」「親」「子」「夫婦」「ひとがここにいること」など、さまざまに突きつけられる本です。とくに刑事裁判にかかわる人間にとっては、立場の違いにかかわらず読まなければならない一冊だと思うので、この場を借りて紹介させていただきます。

高橋シズエさんのブログ
「高橋シズエの喜怒哀楽」より
http://blogs.yahoo.co.jp/whitecat12browncat12/22549042.html

|

2008年3月 7日 (金)

犯罪被害者に関するある報道を読んで

ネットで、以下の報道を目にしました。

ご遺族からすれば、被告人がどう法廷でどう釈明しようと、結果は同じです。被害者は「殺された」のです。
今後導入される被害者参加制度のありかたとは別に、刑法上の「責任」とは何か、刑事手続きとは何か、その認識をどう社会で共有していくか、被害者・遺族をそのことに向き合わせることができるのか・向き合わせるべきなのか・向き合わせてよいのか・向き合うとしてもいつどのように向き合うべきなのか、という、きわめて難しい問題が、この報道の根底にあると思います。

(2008年3月4日産経新聞より一部引用)
法廷で被害者親族が被告少年に“まわしげり” 大阪地裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080304-00000969-san-soci
 大阪市旭区の淀川河川敷で昨年2月、(被害者氏名略)=当時(16)=が暴行を受けて殺害された事件で、殺人罪に問われた主犯格の少年(17)の公判が4日、大阪地裁(中川博之裁判長)で開かれ、閉廷後に(被害者氏名略)さんの親類の男性が、被告人席に座っていた少年の後頭部を傍聴席からさく越しにけるトラブルがあった。少年にけがはなかった。
 地裁によると、男性はこの日、(被害者氏名略)さんの母親ら数人と一緒に公判を傍聴。少年は一貫して殺意を否認しており、審理中、男性と同席していた親類の女性が少年に向かって「殺しとるやないけ」などと大声を上げ、中川裁判長から注意される場面があった。男性は閉廷後、罵声(ばせい)を浴びせながら少年をけり、他の傍聴人らから制止されたという。
(以下略、以上引用終わり)

|

2008年1月27日 (日)

被害者国選「付添人」制度導入へ

以下のとおり、被害者国選付添人(代理人)制度は、導入がほぼ決まりました。制度としては必須のものだと思います。もっとも、できれば資力要件(被疑者国選弁護人制度と同じ「預貯金50万円未満」が国選選任の要件だと聞いています)を、被害者としての立場に鑑みて、もうすこし緩くしてほしいと思いますが。

なおこの件の報道では被害者「弁護人」制度、と報道されているものが多いようですが、これは用語として完全に誤りですし、間違いの質としてもひどいと感じます。

このように書く記者は、被害者と被告人(につくの「弁護人」)を勝ち負けの対立関係に想定しているのかもしれません。しかし仮にそのように考えるとすると、この「被害者参加制度」は、まさに当初危惧された方向に行ってしまうでしょう。
さまざまな過程を経て生まれる制度ですし、各事件の当事者のことを考えれば失敗は絶対に許されないのですから、もう少し慎重な報道をしてほしいと思います。

(共同通信2008年1月18日より引用)
弁護士費用は返還求めず 被害者支援で法務省原案
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2008011801000268.html?C=S
 刑事裁判への被害者参加制度をめぐり法務省は18日、公費で選任される弁護士費用の返還を被害者側に求めないことなどを盛り込んだ原案をまとめ、自民党司法制度調査会などで了承された。今後調整を経て、総合法律支援法などの改正案を通常国会に提出する。被害者参加制度は、被害者らが一定の制限付きで、被告人質問や意見陳述などをすることができる。年末までに改正刑事訴訟法が施行、実施される。

(産経WEB2008年1月19日より引用)
被害者国選弁護 費用返還求めず 法務省案を自民了承
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/m20080119033.html?C=S
 刑事裁判に犯罪被害者らが参加する「被害者参加制度」をめぐり、法務省は18日、公費で選任される弁護士費用については原則、被害者側に返還を求めないなどとする原案を自民党司法制度調査会などの合同会議に示し、了承された。同省は総合法律支援法などの改正案を通常国会に提出する方針。

|