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2013年7月18日 (木)

成年後見と金融機関窓口対応(後見実務)

後見業務を行っていると、銀行窓口でいろいろと理屈に合わない苦労をすることがあります。

先日も、ある大手銀行で後見管理用の口座を作成しようとした際に、銀行が成年被後見人の本人確認で保険証等の原本を要求する姿勢を譲らなかったことがありました(結局、他の銀行で口座を開設しました)。

その銀行は、そのような扱いは「全銀協の方針です」と言っていたのですが、これはまったく事実に反します。

全銀協(全国銀行協会)は、平成23年2月17日に「成年後見制度に係る銀行実務上の対応の見直し」と題する通知を各銀行に発しています。
そこでは、以下の③にあるように、後見登記事項証明で被後見人の本人確認は足りる、とする方法を許容しています。こんなことを窓口で言われた方のために、情報提供をしておきます。

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<通知内容>

①新規口座開設時等の場面での成年後見登記に関する登記事項証明書について「必ずしも原本自体を銀行で保管しなくてもよいと考えられる。」

②後見人等の選任届出時および新規口座開設時の後見人等の本人確認について「成年後見登記に関する登記事項証明書および犯罪収益移転防止法が定める本人確認書類の提示・提出のみを受けることも考えられる。」(後見人等の実印および印鑑証明書の提示・提出は不要とする考え方)、

③後見人等の選任届出時および新規口座開設時の場面での被後見人等の本人確認について「成年後見制度に係る登記事項証明書には被後見人等の住所・氏名・生年月日が記載されており、犯罪収益移転防止法施行規則第4条第1項第1号トに定める『官公庁から発行され、又は発給された書類その他のこれに類するもので、当該自然人の氏名、住居及び生年月日の記載があるもの』に該当するので、成年後見登記に関する登記事項証明書により被後見人等の本人確認を行うことも考えられる。」(被後見人の免許証・健康保険証等の本人確認書類は不要とする考え方)
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なおこの通知の交付を求めたところ、その銀行からは拒否されました。そのかわりの参考資料として、リーガルサポートさんの下記HPへのリンクを、ここに貼っておきます(上記①~③もこの要望書内での整理によりますが、通知の内容は私も実物を見ておりますので、正確だと思います)。

「成年後見制度に関する届出」及び「成年後見人等が行う金融機関取引」等に関する改善について(要望)
(公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート)
http://www.legal-support.or.jp/data/120201kinyukikan-anke/01-kinyukikan-anke-youbousho.pdf

ついでと言っては何ですが、「法定後見実務改善と制度改正のための提言」(平成20年7月 日本成年後見法学会 制度改正研究委員会)もリンクを貼っておきます。こうやってみると、この5年で改善が進んだことも、結構ありますね。
http://jaga.gr.jp/pdf/H19_seidokaisei.pdf

こちらは日弁連による各金融機関向けアンケート「成年後見制度に関する取扱いについてのアンケート」の集計結果、分析と考察(平成21年10月8日)です。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/committee/list/data/seinenkouken_anquet_result.pdf
ちょっと前のアンケートですが、これも参考になりますので、載せておきます。

とりあえずこんなところでストレスがかからないように、また無駄な時間がかからなくなるように、金融機関窓口での後見実務の改善を強く期待したいところです。

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