« 2013年1月 | トップページ | 2013年5月 »

2013年4月 6日 (土)

面会交流に関する最高裁決定(間接強制の可否、H25/3/28)

子供の面会交流事案に関する裁判例情報です。

すでに報道等でご承知の方もおられると思いますが、平成25年3月28日の最高裁判所第一小法廷決定です。

1 監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判に基づき間接強制決定をすることができる場合
2 監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判に基づき間接強制決定をすることができるとされた事例
→(裁判所HP)
 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83152&hanreiKbn=02

離婚後、子と別居しているときに面会交流がスムーズに行かない事例は多くあります。今回の裁判例は、そのような場合に、一定の要件の下で、会わせない親に、相手への金銭の支払い(=「間接強制」)を命じることができる、という内容です。

★内容を読むと、要件としては、
「監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において、面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は、上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。」
という条件が付されています。

●そしてこの件では、面会交流について、先行する審判で、

①面会交流の日程等について、月1回、毎月第2土曜日の午前10時から午後4時までとし、場所は、長女の福祉を考慮して相手方自宅以外の相手方が定めた場所とすること
② 面会交流の方法として、長女の受渡場所は、抗告人自宅以外の場所とし、当事者間で協議して定めるが、協議が調わないときは、JR甲駅東口改札付近
とすること、抗告人は、面会交流開始時に、受渡場所において長女を相手方に引き渡し、相手方は、面会交流終了時に、受渡場所において長女を抗告人に引き渡すこと、抗告人は、長女を引き渡す場面のほかは、相手方と長女の面会交流には立ち会わないこと
③ 長女の病気などやむを得ない事情により上記①の日程で面会交流を実施できない場合は、相手方と抗告人は、長女の福祉を考慮して代替日を決めること
④ 抗告人は、相手方が長女の入学式、卒業式、運動会等の学校行事(父兄参観日を除く。)に参列することを妨げてはならないこと

などが定められていたそうで、
この場合には前記条件(=給付の特定)をみたす
(=間接強制可)、とされたようです。
金額は、不履行1回につき5万円とされています。

なお、このお子さんは上記決定を読むと7歳くらいで、面会交流は、監護者は「長女が面会交流に応じないという態度に終始していて、長女に悪影響を及ぼす」ということを、面会交流拒否の理由とされていたようです。

●また同日棄却決定がなされた同種別件では、

(事案A)
①相手方は、抗告人に対し、長男と、2箇月に1回程度、原則として第3土曜日の翌日に、半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)面接をすること
を認める。ただし、最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。
②相手方は、前項に定める面接の開始時にa県b市のc通りの喫茶店の前で長男を抗告人に会わせ、抗告人は終了時間に同場所において長男を相手方に引き渡す
ことを当面の原則とする。ただし、面接交渉の具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、抗告人と相手方間で協議して定める。
③抗告人と相手方は、上記アに基づく1回目の面接交渉を、平成22年1月末日までに行うこととする。
④抗告人と相手方は、二男については、将来的に長男と同様の面接交渉ができるようになることを目標にして、面接交渉の是非、方法等について協議する。な
お、この協議は、本調停成立日の1年後を目安として始め、その後は二男の成長に配慮しながら適宜行い、双方は、二男の面接交渉の開始に向けて真摯に協力することとする。

(事案B)
①相手方に対し、抗告人と長男及び二男が、1箇月に2回、土曜日又は日曜日に、1回につき6時間面会交流をすることを許さなければならない

という内容の調停合意または審判がされていたようですが、
これでは特定が足りない(=間接強制不可)、とされました。

※(棄却の理由A)
「本件調停条項アにおける面会交流をすることを「認める」との文言の使用によって直ちに相手方の給付の意思が表示されていないとするのは相当ではないが、本件調停条項アは、面会交流の頻度について「2箇月に1回程度」とし、各回の面会交流時間の長さも、「半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)」としつつも、「最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。」とするなど、それらを必ずしも特定していないのであって、本件調停条項イにおいて、「面接交渉の具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、抗告人と相手方間で協議して定める。」としていることにも照らすと、本件調停調書は、抗告人と長男との面会交流の大枠を定め、その具体的な内容は、抗告人と相手方との協議で定めることを予定しているものといえる。そうすると、本件調停調書においては、相手方がすべき給付が十分に特定されているとはいえないから、本件調停調書に基づき間接強制決定をすることはできない。」

※(棄却の理由B)
本件条項は、1箇月に2回、土曜日又は日曜日に面会交流をするものとし、また、1回につき6時間面会交流をするとして、面会交流の頻度や各回の面会交流時間の長さは定められているといえるものの、長男及び二男の引渡しの方法については何ら定められてはいない。そうすると、本件審判においては、相手方がすべき給付が十分に特定されているとはいえないから、本件審判に基づき間接強制決定をすることはできない。

★今後、面会交流事案で間接強制を意識する場合には、申立の段階から、この各事案をきちんと対比して意識しておく必要があるでしょう。

|

« 2013年1月 | トップページ | 2013年5月 »