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2012年5月 1日 (火)

「ネットと愛国」読了。

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久しぶりのブログ更新です。

最近、安田浩一著「ネットと愛国」(講談社)を読了しました。
この10年に僕が感じてきたことと重なった(と思った)ので、書いてみたいと思います。

この本は「在日特権を許さない市民の会」や、その代表者についてのルポです。そして安田氏はエピローグで、「在特会は隣人である」と結論付けています。
この意味するところは、かなり深いように思います。

昔、平壌宣言後の朝鮮学校生徒への嫌がらせの実態について調査しその結果分析を添えて公表したとき、その実態は、決して、一見してレイシストみたいな人がひどいことをしている、みたいな構図ではありませんでした。
その構図への問題意識と、安田氏が在特会にのめり込む人たちの弱さのような部分に着目しているあたりが、重なるように感じます。

昔の話ですが、上記調査結果公表の時、従来からの運動体の多く(あえて「多く」と言います)とマスコミの多くは、「チョゴリの切り裂きは何件あった?」ということしか聞いてきませんでした。そして○○件、というと、むしろ期待にこたえてもらったように喜ぶようなリアクションすらありました。
その一方で、その他の態様や調査結果の分析に興味を持つ人は、残念ながらほとんどいませんでした。評論等でもそのような当時の「ナショナリズム」構造について分析を試みるもので、入手できた本は、小熊英二著「癒しのナショナリズム」他、数冊のみでした。

10年経って、こういう本が手頃な価格で出るようになってきたんだから、状況が変わってきたのかとも思います。ただ、あいも変わらずこんな問題がつづいていて、解決できていないということでもありますが…。

言いたいことは、こういうことです。

構図を単純化しないでそこの内側をきちんと見ないと、この種の問題は、先へは進めないと思います。というか、そうしないと、加害者もそれを非難する側も、同じコインの表と裏になってしまうだけです。「加害者」は「差別主義者」「レイシスト」と非難されがちですが、実は「普通の人」が、スルッと、そんなことをするのです。実は、「加害者」も、それを非難する側も、本質的な違いをそれほど持たないように感じるのです。そのことに我々は自覚的にならないといけないのではないでしょうか?

「在特会」の存在を嘲笑し、また別の問題ではたとえば「石原!」とか「橋下!」などと呼び捨てにして糾弾しているだけでは、問題状況は変わらないと思います。その両者と自身の隠し持っている共通性に、我々は目を向けないといけないと感じ続けています。

※Amazon:「ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて」
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