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2008年10月 9日 (木)

橋下弁護士敗訴判決に接して

しばらく更新をごぶさたで、失礼しました。

さて、この判決にはやはり触れておいたほうがいいかな、と思います。

(以下東京新聞2008年10月2日より一部引用)
橋下知事に800万賠償命令 懲戒請求呼び掛け 弁護団へ『不法行為』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008100202000222.html
 山口県光市の母子殺害事件被告の元少年(27)=死刑判決で上告中=の弁護団だった四人が、テレビ番組で懲戒請求を呼び掛けられ業務に支障を来したとして、橋下徹大阪府知事に計千二百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二日、広島地裁(橋本良成裁判長)であった。
 橋本裁判長は「呼び掛けに合理性はなく不法行為に当たる」と指摘。発言が名誉棄損に当たると認定し、計八百万円の支払いを命じた。
(中略) 橋本裁判長は「弁護団の主張内容は荒唐無稽(むけい)で許されない」といった当時弁護士だった橋下知事のテレビ発言について、弁護士として法的根拠がないことを知っていながら、あえて請求を呼び掛けており「違法性の程度が大きい」とした。
 「死体をよみがえらす」といった元少年の主張について「(弁護団が)組み立てたとしか考えられない」とした発言についても「弁護団が主張を創作したと想起させる」と判断。名誉を棄損するとした。
 さらに「弁護士の品位を失う非行に当たるかは世間の評価に従うべきだ」とする知事の主張を、弁護士の使命を理解しないものだと批判した。
 その上で、多数の懲戒請求により「弁護団は答弁書作成など事務負担を要し、精神的被害を受けた」とした。
 判決によると、橋下知事は昨年五月、出演した民放番組で、差し戻し控訴審の弁護団を批判し「見ている人が一斉に懲戒請求をかけたら、弁護士会としても処分を出さないわけにはいかない」と発言。放送後、「意図的な裁判遅延だ」などと四人が所属する広島弁護士会に、大量の懲戒請求が出された。
 今年一月時点で二千五百一件に上ったが、弁護士会はいずれも「懲戒不相当」と処分しないことを決定。橋下知事は法廷に一度も姿を見せなかった。
(以上引用終わり)

このニュースも消費されていくのか、判決から日が経って、早くもこのニュースのかけらも残っていないような。
良心的メディアによる、きちんとした検証を期待します。

さてこの間、「弁護士」たちのもろさも垣間見えました。
「世論 」に迎合するがごとく、無責任に思い付きのような弁護団批判をする「弁護士が」、実は多くいました。もちろん中には立派な見識のもと根拠のある批判もありましたし、それについては弁護士業界全体として真摯に受け止めなければならないと思いますが。
とにかく、刑事弁護の意味を当の弁護士業界で相当数の弁護士が共有していないことも、よくわかりました。そう考えると、橋下氏、懲戒請求者やメディアだけを批判できません。

とにかくこの判決のあるなしにかかわらず、今日も明日も刑事裁判は続き、そこに弁護士は立ち続けます。その歴史を振り返り、その意味を日々謙虚に考え、検証しときには改めながら、それでも刑事弁護をやらなければならないと考える弁護士は、前に進むしかないのでしょうね。

この事件、提訴のときは懐疑的にみていましたが、今では、さまざまな問題をあぶりだした点でも、一定の意義があったのではないかと考えています。

※関連最高裁判例:最判平成19年4月24日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=34555&hanreiKbn=01

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