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2008年1月 4日 (金)

ある成年後見申立事例

今日は成年後見申立の準備のため、某病院に行ってきました。本人確認をし、主治医から本人の病状を聞き、診断書の作成依頼をしてきました。

さて、成年後見申立で、記憶に残っているケースがあります(以下の事実関係は、本来の事案から修正してあります)。

ある日突然夫が倒れ、「植物状態」になってしまったケースです。

夫が倒れたとたん、夫宛にサラ金からの請求が殺到し、妻は、夫がサラ金から多額の借金をしていたことを知りました。どうも、夫が妻に内緒で投機をしてできた借金のようでした。そのほかにも自分が知らなかったことが、ぞろぞろとたくさん出てきました。住宅ローンも残っていました。2人の子どもはまだ中学生と高校生。

夫を責めようにも、事実関係を問いただそうにも、夫からはもはや反応は返ってきません。
自分の身内には援助できるだけの経済的な余裕がなく、夫側の親族は自分たちに負担が及ぶのを恐れたのか、冷たい反応でした。そんな中でも、日々、高額の医療費もかかってきます。

残された妻は途方にくれ、年の瀬に切羽詰まったパニック状態で法テラスに駆け込み、私が緊急受任しました。

住宅ローンは団体信用保険で弁済され、なんとか確保できました。
しかし多額の借金は残っています。う~ん、どうしよう…

結局、成年後見申立をし、夫の後見人に、家庭裁判所で、弁護士を選任してもらいました(家庭裁判所には、後見人候補者の名簿のようなものがあり、裁判所はそこからケースごとに後見人候補を選び、打診するのです。)。
そしてその後見人に、生命保険(…これに加入していたので、このケースは妻子が救われたのです!)の手続きをしてもらい、またサラ金各社との和解交渉をしてもらうことにしました。

最終的に、保険金でサラ金借り入れ分は返済可能となり、その他いろいろな手続きを経て、これまでと全く同じとは行きませんが、妻子が生活していくめども、なんとか付きました。

今日事務所に行ったら、その時の依頼者さんから、年賀状が来ていました。その後の生活も軌道に乗っているようです。一つの家族をなんとか守れたと思うと、ほっとしました。

年賀状と今日の病院訪問が、私にそのケースを思い出させてくれました。正直なところ最初は受任を躊躇した事件でしたが(解決のための明確な方針がすぐには立てられなかったので)、引き受けてよかった、私たちマチ弁はこういう、深刻に弁護士を必要としているケースから逃げてはいけないんだと、あらためて思いました。

成年後見が定着した効果か、成年後見人となる弁護士のスキルも、また制度の柔軟性も、向上していると思います。このケースも、当初報酬見込みも立たなかった中で後見人を引き受けてくださった、しかも有能な弁護士に、感謝、です。
それとともに、このような事例でも後見人に確実に報酬が支払われるような制度が作れないものか、と思います。この事例のほかにも、後見人への報酬が用意できないけれども、家族のような「身内の素人」ではなく弁護士のような「第三者専門家」を後見人にする必要があるケースが、結構多いので…

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